子供が生まれて10ヶ月。いろんな育児の本を読んできました。
その中でも感銘を受けたのが、ポール・タフさん著の『成功する子 失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのか』と『私たち子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む』(※いずれも和訳)の2冊でした。
今までの育児本に比べて、研究・論文ベースで執筆されています。そのぶん、読みにくいのが難点。
本を手に取っとき「非認知能力ってなに?難しそう。」が第一印象。
今回は、本を読んで理解したことと自身で調べたことをなるべくわかりやすくまとめています。
非認知能力と認知能力
非認知能力
本の言葉で言うと、
・やり抜く力
・好奇心
・自制心
・誠実さ
・楽観的なものの見方
これらの目には見えない力。(気質・性格のこと。)
認知能力
反対に認知能力とは、読み書き、計算、道具の使用など。
できたのかはっきりと目に見える力。IQ測定で数値化できる力のことです。
子育てをする上で非認知能力を知っておくべき理由
結論は、その子の将来を豊かにするため、今後の世の中の変化に対応していくためです。
人生を豊かに
非認知能力という概念が見出されるきっかけとなった『ペリー就学前教育プログラム(ペリー・プレスクール・プロジェクト)』という調査があります。
ざっくりまとめると
対象:低所得世帯の学校教育上のリスクが高いと判定された3〜4歳の子供123名
方法:ランダムに抽出された被験者58名に質の高い就学前教育を実施。非被験者65名と比較
追跡調査:3〜11歳(毎年)、14、15、19、27、40歳
結果:就学前教育を受けた子供と受けなかった子供で、犯罪率、学校中退、留年率、雇用、麻薬使用、大学入学、就職に優位な差が認められた
この調査で一番重要なのが、幼児教育プログラムを受けた子ども達のIQや学力テストは一時的に上昇しましたが、8歳前後では受けていない子供達と大きな差がなくなったという点です。
つまり、大人になってからの年収や生活の豊かさに優位差にIQや学力の影響は関係ないということです。IQでは計れない別の後天的な能力(非認知能力)が人生の豊かさや成功に影響していると報告されています。
社会の変化に対応する
米オックスフォード大学の研究でハイテク化が進むことにより、20年後の将来には今の仕事の47%がなくなることが示唆されています。
現時点でもコロナ禍の影響で、ネットショッピングが加速し多くのデパートが閉店。
無人の店舗実験により、受付嬢はパソコンで代用などなど、、新たな仕事のスタイルも確立されてきています。
そのため将来を生きる今の子供たちは、現時点で存在していない仕事に就いたり、開発されていない技術を使ったりする未来がやってくるでしょう。
予測することが困難な時代を生き抜いていくために必要なのが非認知能力なのです。
非認知能力を育てるには
本ではアメリカの貧困層について書かれており、日本のスタンダードな子育てとは異なる部分も多い印象です。その中から特に重要と思うところを簡単に要約しています。
幼児期の健全な発達
愛着形成
温かく気配りの行き届いた子育てが愛着(アタッチメント)を形成する。愛着形成がしっかり成されれば、子供の心に安心感と自信が深く根付く。子供の好奇心や粘り強く取り組む力を育む。
ストレスのない環境
慢性的な低栄養や声をかけられないなどのストレスは警戒心や対人関係における不信を招く。
できる限り、ストレスのない環境を作ることが重要。
トラウマを作らない
親のDVを目撃した、両親が離婚した、家族がアルコール中毒や精神疾患あるなど。心に深く残るトラウマがあると、うつ病になりやすかったり、自己破壊的な行為に及ぶ可能性が増す。
親のあり方も重要
子供の間違いを批判しない
間違いを批判するよりも、うまくいった点について声がけをする。感情的にならずに対話を心がける。
時には逆境も必要
子供の成長に見合った逆境が子供を成長させる。成功するためには、失敗が必要。その失敗をどうのように扱うか、手を出し過ぎてもよくない。
インセンティブ(ご褒美)の是非
楽しいと感じて行なっていることに、ご褒美を与えるとその行為に楽しみを見出せなくなる。ご褒美をもらうための作業になってしまうから。興味を持っていることにインセンティブを容易に与えない。
感想
私たちは今まで読み書きを中心に認知能力を向上させるよう学校で教育されてきた世代かと思います。しかし、自身の幼少期を思い出すと、本を読んでくれたり、いろんな所に連れていってくれた両親。こうしてブログを1記事書き抜く力もそのおかげなのかもしれません。
感謝の気持ちを持って、子育てをしていきたいです。